一般社団法人なら空き家対策協議会
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空き家がなぜ増えるのか?それには主に3つの要因があります。
1つ目は、「実家に帰らない」ことです。
以前の日本の家庭であれば、長男が家(実家)を引き継ぐことが当たり前とされてきましたが、現代では一度出てしまった実家を引き継いで住むということは少なくなりました。大学進学で親元を離れれば、就職先も都会で探します。そして結婚をし、そのまま就職先の近隣地域で家を買う。その子どもたちも同じようにして実家を離れ、他地域に家を買う。この循環が少子化が進む日本でも新設住宅が着工される原因だと思います。そして、引き継ぐはずだった実家は必然的に空き家となります。
(※住宅ストック数は約6,240万戸で、総世帯数の約5,400万戸より多く、量的には充足していますが、昨年度の新設住宅着工数は819,623戸でした。)
2つ目は、「日本人は新築を好む」からです。
日本人は新築を好みます。これは先進国の中でも突出しています。全住宅の流通量に占める新築のシェアは、アメリカ19.0%、イギリス14.1%、フランスは30.2%、日本は85.5%となっています。
これらの数値が示すのは、日本では中古住宅はほぼ流通していない(良質な中古住宅はあるのに、、、)ということです。住み替えの受け皿としてまだまだ使える中古住宅はほったらかしにされ、空き家になってしまいます。
3つ目は、「相続」です。
相続は誰にでも起こります。たとえ住まなくなった実家であっても相続しなければなりません。
家族皆が納得できる遺産分割を円滑進めることはできるでしょうか。実家を売却してそのお金を兄弟で分けるといったことも考えられますが、2つ目で書きました通り、日本人は中古住宅を好みません。すぐに売却は難しいかもしれません。売れるまでの期間は実家の管理が必要です。通風や掃除を怠ると家はすぐに老朽化します。税負担も必要です。また令和6年4月より相続登記は義務化となります。要らぬものを相続したと頭を抱えるかもしれません。
そして、時が経つにつれ、実家は老朽化が進み使い道がなくなった空き家となってしまいます。
昨今、話題となっている空き家問題の最大の要因は相続にあります。空き家を解決できぬまま、次の相続が起これば、所有者の細分化が始まります。空き家の処分、利活用、売却等は所有者全員の意思決定が必要となります。所有者が細分化され、会ったことがない遠縁の親族にも連絡を取らないといけないケースもあります。こういった煩わしい現状が空き家の放置へと繋がり、空き家が今後もますます増えていくのです。
空き家になる家とは様々な家庭問題が絡みます。空き家問題解決のマニュアルなどはなく、その家庭それぞれの問題を紐解く必要があります。空き家を所有してしまったならば、ほったらかしにせず、まずは専門家に相談することをお勧めします。また相続が起こる前に、実家をどうするのか実家の終活を所有者と事前に話し合うことが大切です。